WORKS
仕事を知る社会を支える仕事SUPPORT SOCIETY
Hitachi Group 日立グループとしての挑戦
当社が日立グループとして参加する大規模プロジェクトは、日常的に利用する社会的なインフラやサービスに関わるものが多い。ここで取り上げるプロジェクトは、2021年にリニューアルした新幹線の座席予約システム。2000年にサービスを開始して以来、最大規模のシステムリニューアルとなった本プロジェクトにおいて、当社が果たした役割や仕事のやりがいなど、プロジェクトマネージャーを務めた三田耕平と開発を担当した林明日香の2人に話を聞いた。
プロジェクトの概要
新幹線の座席予約システムのリニューアル
- 開発期間
- 2018年4月~2021年6月
- 要員数(ピーク時)
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プロジェクト全体
300人
日立ソリューションズ・クリエイト
130人
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- 三田 耕平 KOUHEI MITA
- 社会システム事業部 部長
プロジェクトマネージャー
2002年入社 工学部卒
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- 林 明日香 ASUKA HAYASHI
- 社会システム事業部
2014年入社 理学部卒
豊かな社会を支える
新幹線のプロジェクトを担当する喜びと責任
サービスのコアであるシステム開発が当社の役割
日立グループは、鉄道分野において運行管理から車両内の制御系まで、幅広い開発実績を持っている。その中でも、広く一般の人々に知られ、頻繁に利用されているのが今回紹介する新幹線の座席予約システムだ。登録会員数は830万人、月間 1億7,800万 PVという規模で公共交通を支える大規模なプラットフォームである。(2023年8月現在)
「自分がつくったシステムを日常生活の中で実際に利用できることが、このプロジェクトならではの楽しさであり、やりがいです。」と語る社会システム事業部の三田耕平。この座席予約システムが2000年にサービスを開始する頃から、約20年にわたり開発に携わってきた、誰よりもシステムについて深く知る技術者だ。2018年の大規模なリニューアル開発では、全体を統括するプロジェクトマネージャーを経験した。
「プロジェクトのピーク時には全体で約300人、そのうち当社からは約130人が動員されました。日立製作所の下に当社を含めて3社が参加しました。他社が担当したのはWebのインターフェースに関わる部分なので、コアである照会・予約・決済系の機能などの開発は当社が担っていました。要件定義の支援から設計までの上流工程も、ほぼ当社の担当です。」
開発からプロジェクトに関わった林明日香。実際の業務における体制について話してもらった。
「開発、設計、テストなど工程ごとにチームが分かれていて、その上に三田さんがいてチームリーダーを束ねるという形でした。現場で開発を担当するのは大半が協力会社の方々なので、当社のメンバーは日立製作所の要望と協力会社の間を調整するのが主な業務でした。長期間のプロジェクトでは、進捗に合わせて関わる人数や配置が変わるため、プロジェクトマネージャーの三田さんは大変だったと思います。」
予定通りリリースしてもプロジェクトは終わらない
プロジェクトは予定通り進み、2021年6月に新たな座席予約システムをリリース。無事リリースできたものの、林はリリース当初は達成感や喜びを味わえなかったと言う。
「稼働した瞬間はうれしかったですが、これでプロジェクトが終了したわけではありません。ここからが保守の本番スタートだと、気の引き締まる思いでした。」
過去に何度もサービスの拡充や更新を経験してきた三田も、今回の大規模リニューアルにはプレッシャーを感じていた。
「プログラムを大量に書いているので、リリース後の修正は必ずあります。開発の途中で当初予定とは異なる機能を追加することになった場合、それがもとで不具合が起きることもあります。」
幸いにも、大きな問題はなくエンドユーザーへの影響はなかった。しかし、無事にリリースした後も細かな部分についてより品質を高めていく必要がある。開発はその先も続いていくのだ。リリース後に維持保守を担当した林は、利用者の多い商用サイトのシステムは、運用にこそ手腕が問われると言う。
「リリース後の1年間は、開発に関わっていた30人から40人のメンバーがそのまま残り、週に2回ずつ更新をかけていました。2年以上過ぎたいま、月に1回あるかないかの更新頻度になり、通常の維持管理モードに戻っています。今回のリニューアルで追加された機能については、使い勝手が良くなったとユーザーの方々に好評なので、苦労した甲斐がありました。既に次の開発についての検討が始まっているので、そこにも関わりたいと思います。」
当社ならではの強みを生かして、次の大規模開発に挑む
本プロジェクトでのやりがいを三田に聞いた。
「チケットの発券システムを担当していた新人の頃、父親を旅行に連れていった時に切符の印字や磁気面を見せて、『これ、俺がやってる仕事だよ』と自慢したことを覚えています。自分も含めて、大勢の人たちが日常生活の中で利用するシステムに関われることに、このプロジェクトならではの喜びがあります。万一、障害が起きたらトップニュースになってしまう。それだけ重要な社会インフラを支えていることを日々実感しています。」
林は、日立グループの大規模プロジェクトに関わる経験から得られるものが大きいと言う。
「6年近くプロジェクトに関わり、日立製作所をはじめグループ会社や協力会社の方々と接して、多くの学びがありました。いま、別のプロジェクトで保守を担当していますが、ここで経験したことは、他のプロジェクトでも十分に生かせると考えています。このプロジェクトの中で出会ったさまざまなマネージャーの良いところを自分のマネジメントスキルに取り込みたいと思います。」
今回のリニューアルが成功した理由について聞くと、林は責任感と使命感だと答えた。
「目標を達成する意志を共有して、一丸となって頑張った結果です。どんなに忙しくても、とにかくみんなの士気が高かった。コロナ禍の前に、三田さんが懇親会を催したり、神社に参拝したり、全員が参加するイベントを実施したことも一体感を高めたと思います。」
三田はチームワークが大きな力を生んだことに加えて、当社ならではの強みが成功の要因だと言う。
「いま、別のプロジェクトに関わっていて、初めて仕事をする日立グループの方々から、当社はものづくりの外側まで対応してくれるから助かると言われました。優れた技術だけではなく、お客さまからの要望に柔軟に対応して実現していく力。それが社名に冠されたソリューションであり、日立グループ内で際立つ当社の個性なのだと再認識しました。金融系や鉄道系といった大規模プロジェクトを進めるためにも欠かせない力です。今後の開発において、その力を最大化していくことが私の役割だと考えています。」
130人もの開発要員を束ねてリニューアルを成功に導いた三田の視線は、次の挑戦へと向けられている。