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仕事が奪われる? AI失業は本当に起こるのか

AI(人工知能)がこのまま進歩を続け、企業への導入が進めば、やがて多くの仕事がAIに奪われる……こんな話を耳にしたことのある人は多いのではないでしょうか。AIが人間の仕事を奪う「AI失業」は本当に起こるのか、起こるとすれば具体的にどのような職種に就いている人が仕事をなくしてしまう可能性があるのでしょうか。AIと仕事の関係について解説します。

  1. AI普及で約半数の仕事が不要になる?
  2. 「労働者」としてのAIの強み
  3. AI失業の可能性が高い仕事・職業とは
  4. AI失業の可能性が低い仕事・職業とは
  5. AI失業は本当に起こるのか

AI普及で約半数の仕事が不要になる?

AIやロボットに関する技術が今のまま進歩を続けてビジネスへの活用が進むと、数ある職業の内、日本の労働人口の約半数が携わっている職業の仕事が10〜20年後にはAIで代替可能になると推計した研究など、多くの仕事が不要になる可能性があるとする発表が過去に出ています。

アメリカやイギリスをはじめ、世界的に同様の現象は起こるといわれていますが、日本の場合はその割合がやや高くなるともいわれています。これは、日本ではそれだけAIに奪われる可能性のある仕事に就いている人が多いと考えられていることを意味しています。

「労働者」としてのAIの強み

AIを労働者としてみた場合、人間に比べて優れているところ、有利なポイントはどこなのでしょうか。

AIの大きな強みは正確性とスピードです。製造機械がそうであるように、AIはある作業のやり方を一度覚えてしまえば正確かつ迅速にその作業を続けられます。そして24時間稼働させることも可能で、疲れを知りません。簡単にいえば作業効率が格段に上がります。

加えて、AIは単なる機械とは異なる強みも備えています。AIは定型的な作業だけではなく、必要な作業内容が変化しても柔軟に対応可能です。さらに人間には難しいような非常に複雑な作業もやりこなせます。

知識集約型産業の仕事も例外というわけにはいきません。たとえば「広告コピー自動生成AI」は商品情報、過去の広告コピー、ニュース、SNSの情報などを収集・解析し、クライアントの要望を踏まえて100種類ものコピー案を瞬時に作り出すことが可能です。また欧米ではAIが作ったキャッチコピーのほうが、人間が作ったキャッチコピーよりも広告効果が高いという結果が得られたこともあったそうです。

AIは求められれば大量のアイデアを提案することも、より実効性のある結果を出すことも可能、といえるのかもしれません。

AI失業の可能性が高い仕事・職業とは

AIに奪われる可能性が高い仕事は100種以上にも及ぶといわれています。いくつか挙げると、事務職、製造工、組立工、会計監査係員、CADオペレーター、警備員、新聞配達員、スーパー店員、清涼飲料ルートセールス員、石油精製オペレーター、セメント生産オペレーター、倉庫作業員、測量士、宅配便配達員、通関士、電気通信技術者、コンピューター・IT保守員、タクシー・電車・バス運転士、ビル清掃員、銀行の融資担当者、保険の審査担当者などの職業が該当します。

基本的に、パターン化できる単純作業の繰り返しが多い仕事はAIに取って代わられる可能性が高いといえます。またAIのほうが正確かつ迅速に作業できる業務は、人を雇用するよりもAIに任せたほうが効率的なので、やはり人間は不利な立場に追い込まれます。仕事を行う際に高いスキルや知識、資格などが必要とされる職業であっても、その事実は変わりません。

AI失業の可能性が低い仕事・職業とは

ではAI失業の可能性の低い、つまり10〜20年後でも残っている可能性が高い仕事・職業はどういったものなのでしょうか。

現在挙げられている仕事にはたとえば、精神科医、外科医、言語聴覚士、助産師、教員、教育カウンセラー、バーテンダー、デザイナー、ゲームクリエーター、フードコーディネーターなどがあります。

これらの仕事の多くは、創造性が求められる仕事、人間の精神や感情に関わりのある仕事、教育関連の仕事だといわれています。たとえばAIはビッグデータを分析して現状に即した組み合わせをアウトプットして提案するような作業はできますが、ゼロから何かを創造することはまだできません。

加えて、AIエンジニアなどのAI関連の仕事も需要が伸びるものと考えられます。もしも未来のどこかでAIがAIを生み出すようになれば、「シンギュラリティ(技術的特異点)」が到来することになるのかもしれません。シンギュラリティはまだ未来学上の一つの概念にすぎませんが、少なくともそのときが来るまでは多くの人間のエンジニアたちがAI技術の進歩に力を注ぐことになるでしょう。

AI失業は本当に起こるのか

AIが近い将来、今あるいくつかの仕事を人間の代わりにやるようになるのは確かです。AIの発展による人員削減はすでに始まっているとも考えられます。たとえば銀行などの金融業界では、AI関連技術を組み入れた「FinTech(フィンテック)」の普及などによって大掛かりなリストラ計画が進められています。

しかし、その一方で人的リソースを人間にしかできない領域の仕事に有効活用できるようになる可能性もあります。AIの普及によって新しい仕事も生まれるでしょう。AIが人間を単純労働や定型作業、苦痛を伴う作業などから解放するようになると、人間の余暇時間が増えてそれをどのように活用するかが問われるようになるという見方もあります。

インターネットが普及したことで社会や人々の暮らしのディテールが変わり、利便性が増すと同時に新しい問題も起きてきたように、AIの進歩にも功罪があるのは間違いありません。AI失業が本格化すれば、なくなる仕事と残る仕事、生まれる仕事の間で格差が生じることにもなるでしょう。

AI失業は特定の職業では起こり得ますが、影響を受けにくい仕事・職業も多くあります。人間にしかできないことについて、あらためて考えてみてはいかがでしょうか。

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