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テクノロジー 医療の現場でAI活用を進めるメリット・デメリット

医療の現場でAI活用を進めるメリット・デメリット

AI(人工知能)は人間の知能を人工的に再現したもので、コンピューターでありながら自ら学び、収集するデータの量などに応じて成長が期待できるという特長があります。将来、あらゆる領域で人に代わってAIが業務を担当するようになるともいわれていますが、高度な知識が要求される医療分野においてはどうでしょうか。ここでは医療分野におけるAIの活用例と、AIによって得られるメリット・デメリットを紹介します。

医療分野のAI活用

AIは「Artificial Intelligence(人工知能)」の略称で、1950年頃から長い年月をかけて研究・開発されてきたプログラムです。ディープラーニング(深層学習)の発達と、多くの情報を収集し活用するためのビッグデータの解析が進められている現在では、AIは飛躍的な発達を遂げています。

AIはIT産業や教育などにとどまらず医療分野への導入も期待されており、患者のカルテを解析しデータを収集したり、検査データから特定の疾患や患者の状態を読み解いたりする実証実験も進められています。2016年には日本国内で白血病患者の特定がわずか10分で達成されるという実績を挙げています。

今後、医療分野にAIを導入すると、人間と遜色ない診断や処方が可能になると考えられています。人に代わって人と同じ業務がこなせるようになると、医療現場での人材不足や医療費の増大といった問題の解消にも役立つ可能性があります。

医療の現場でAIを活用するメリット・デメリット

医療にAIを取り入れるメリットには、まず「事務作業の効率化」が挙げられます。日々来院する多くの患者のレセプト業務(診療報酬明細書の作成などの業務)をAIが自動的に処理すれば、作業にかかる工数と人件費の両方が削減できるでしょう。

次に、患者の検査・診断・処置データを収集し、分類や分析をさせることで診断がさらに高精度化し、医師や技師の業務を補助できるようになります。人が膨大な情報をひとつずつ分析するには時間がかかりますが、AIならディープラーニングによって時間をかけずに精度の高い診断が可能になるかもしれません。
昨今、医療機器の高性能化により、診断に用いる画像の質が上がり、量が増え、医師の負担は増えているといわれています。せっかく情報量が増えても、それを元に正しい診断ができる人材が不足しているという状況もあります。そういった医師を支援するという意味でも、AIによる画像診断のサポートが求められているのです。

AIの精度を高めたうえで医療に導入すれば、重篤な症状を見落としたり、適切な分析や処置を誤ってしまったりする「医療過誤」の防止につながります。近年では医療従事者の労働時間が長すぎることも問題視されており、現場の業務を効率化させて人的な負担を減らすことがヒューマンエラーによる医療ミスの防止に効果的として、AIの導入が期待されています。

しかし、すべての業務をAIに任せることはできません。精度を上げてもやはり人間と共同で業務にあたるのが望ましく、AIだけに業務を任せてしまうと未学習の症例や難症例に対応できず、医療ミスを引き起こしてしまうおそれがあります。

医療現場においても、AIにすべての責任を課した場合、責任の所在があいまいになるおそれがあり、現状ではAIと人間が協力し合ってお互いを補助していく方法がもっとも理想的といえるでしょう。

医療現場におけるAIの活用例

実際にAIを導入している医療現場も増えてきています。具体的な活用例としては、AIと画像認識を組み合わせて早期のがん検出を行うというものが挙げられます。特に形状が多様な早期胃がんは専門家でも診断が難しいとされていますが、画像認識技術についてディープラーニングを行ったAIは、陽性の的中率を93.4%、陰性的中率を83.6%にまで高めています。

すでに医療アプリとして、AIによるオンライン診断システムも提供されています。AI機能による病名予測と、病状に応じた近隣の病院情報の紹介、さらには医師と通話して受けるオンライン診療、診断後の処方せんの配送などをトータルでパッケージングして提供。感染症の蔓延にともなう自宅療養や自粛生活にも対応できるサービスを提供しています。なかにはオンライン診療の結果をデータ化し、患者側で所有できるサービスもあり、医療と密接につながりながら正確な健康情報を閲覧できる利便性の高さも実現しています。

その他、少量の血液に含まれる因子からがんの可能性を判定するシステムや、患者の義歯などを自動設計するシステム、歯の色調を再現するための色判定システムなども実現に向けて研究開発が行われています。将来的には手術中に医師や看護師のアシストをするAIも普及するといわれています。通信速度や通信性能が向上すれば、AIがロボットを操作する遠隔治療も可能になるでしょう。

現在AIは5G(第5世代通信移動システム)や3Dプリンターなど、既存のテクノロジーと結びついて飛躍的に進化を遂げています。医療におけるAIの活用には、人手不足を補い、人的ミスを防いで患者の自宅療養を助けるなど、多くのメリットが期待できます。

腫瘍や将来の病気リスクの早期発見にも用いられていますが、AIの精度が高くない状態で医師に代わって代替診療を行うことはまだリスクが大きく、膨大な患者情報やデリケートな医療データを扱う際のセキュリティ対策についても考慮しなければなりません。あらかじめメリットとデメリットをしっかりと知った上で、どのように活用していくかを検討する必要があるでしょう。