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隠れ残業の実態とは? 原因と企業がとるべき対策

会社には黙って仕事を持ち帰り自宅などで業務を行うことや、業務の延長線上で生じた雑務や事務的作業をプライベートでこなすことを「隠れ残業」といいます。ここでは、隠れ残業の実態や問題点を踏まえつつ、企業がとるべき対策について説明します。

  1. 隠れ残業の実態
  2. なぜ隠れ残業が問題なのか
  3. 隠れ残業の原因
  4. 企業がとるべき隠れ残業への対策

隠れ残業の実態

隠れ残業とは、職場に申告せずに行う残業のことを指します。具体的には、申告した残業時間よりも長く職場で働いていたり、自宅などで業務時間外に仕事をこなしたりといったケースがあります。残業時間は適切に管理する必要がありますが、企業側がルール作りを徹底しておらず、従業員の裁量ややる気に任せたままにしていることも少なくありません。

近年ではICT(情報通信技術)の進展やテレワークの普及により、職場以外の場所に仕事を持ち出すことが一般化しており、隠れ残業がしやすい環境だといえます。仕事用のメールやチャットをチェックしたり、業務に関する情報を調べたりすることなども本来、業務の一環としてみなされるため、業務時間外に行うと隠れ残業となります。
日本国内では、ビジネスパーソンの半数以上が持ち帰り残業や残業代の出ない隠れ残業をしたことがあるといわれています。

なぜ隠れ残業が問題なのか

隠れ残業そのものは、従業員ではなく企業側が追及されるべき問題です。2019年4月1日から施行されている「働き方改革関連法」では企業に対して明確に残業時間の上限を定めており、どのような事情があっても月100時間未満(休日出勤を含む)に残業を抑えなければならないとしています。しかしこの法律が施行されたことにより、時間内に収めるために隠れ残業を容認する企業も出てきてしまい、今後さらに残業への規制が厳しくなっていく可能性があります。

隠れ残業が常態化すると、仕事とプライベートの切り替えが難しくなるため心身の健康状態に悪影響を及ぼす可能性があります。いつも仕事に追われている感覚があり、そのストレスが原因となって睡眠時間や精神面に影響が出てくることもあるでしょう。隠れ残業が一因となって体調が崩れた結果、医師の診察を受け、休職を余儀なくされる事態も起こりえます。
隠れ残業を含む長時間労働は従業員のモチベーションの低下を引き起こすだけではなく、企業や本人の意志に反した離職にまでつながってしまうおそれもあるのです。

残業代が出ないため、適正に業務を管理・評価されていないとして、職場への不信感が募る可能性もあります。仕事そのものへの意欲が失われるとパフォーマンスが低下しやすくなり、パフォーマンスが下がったことで仕事が終わらず家に持ち帰らなければならなくなる、といった負の連鎖にもつながりかねません。

隠れ残業の原因

隠れ残業の根本的な原因として、会社が残業時間を無理に削減しようとしている状況があげられます。残業代を固定し、そこを超えないように強いているような場合や、決まった時間に退勤の打刻をさせるといったことが隠れ残業の原因として考えられます。

また、働き方改革や省エネの観点から「ノー残業デー」などを設定して、決まった時間にオフィスを消灯・施錠する企業もありますが、受け持っている業務量が適切でない場合は、これらの施策も隠れ残業を招いてしまいます。

勤怠管理上の残業時間はしっかりと管理していても、実際の残業時間は「従業員の裁量に任せる」として管理を怠り、隠れ残業を容認している企業もみられます。従業員は納期やプレゼンに間に合わない、業務に支障が出るといった事情により、隠れ残業せざるを得ない状況に陥っているケースもあります。

企業と自分に不利益が生じないように心掛けた結果が隠れ残業であり、その実態を放置している企業側に責任がある問題だといえるでしょう。

企業がとるべき隠れ残業への対策

隠れ残業を減らす対策としては、固定業務を見直して負荷を減らす、厳しすぎるノルマを課さないようにするなどが有効です。残業代を固定せず、隠れ残業も適宜チェックして、残業代をしっかりと支給する仕組みも従業員のモチベーション維持につながります。隠れ残業のチェックには、パソコンのほかにスマートフォンやタブレットなどの端末でもログインができる勤怠管理システムの導入がおすすめです。

隠れ残業は働き方改革関連法の「労働時間の上限規制」に抵触する可能性があるため、従業員の労働時間を正確に把握する仕組みづくりが求められています。厚生労働省が発表した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」でも始業・終業時刻の確認及び記録は必須とされているため、隠れ残業を容認せずにしっかりと対策を行っていく必要があります。

従業員にとって隠れ残業は必要に迫られて行うものがほとんどであり、隠れ残業せざるを得ない社内規定や業務量が問題となっています。従業員のモチベーションを維持し、業績を伸ばすためには、適切な勤怠管理が必要だといえます。
隠れ残業の実態を正しく把握するために、勤怠管理システムを導入するなどの対策を検討してみてはいかがでしょうか。

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