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基幹システム

スクラッチか、パッケージか? 基幹システム導入のポイント

新しく基幹システムを導入するときに直面するのが、スクラッチとパッケージのどちらを選ぶべきかという問題です。スクラッチとは、そしてパッケージとはどのようなもので、両者は何が異なるのかなど、それぞれのメリットとデメリットなどの情報を整理して理解しておくことが基幹システム導入の際の重要なポイントとなります。

  1. 基幹システムの3つの導入方法
  2. スクラッチ(手組み)のシステムのメリット・デメリット
  3. パッケージシステムのメリット・デメリット
  4. スクラッチとパッケージどちらを選ぶべきか? 導入のポイント

基幹システムの3つの導入方法

基幹システムを企業に導入する際は、大きく分けて「スクラッチ(手組み)」、「パッケージ」、「パッケージのカスタマイズ」という3つの導入方法があります。

スクラッチは対象となる企業の業務に合わせて独自のシステムを一から構築して導入する方法です。これに対し、パッケージは標準的な業務に合わせて作られ製品化されたシステムを導入します。そしてパッケージのカスタマイズは両者の中間的な位置づけです。既成のパッケージを使用しつつ、カスタマイズやアドオンなどによって自社に合ったアレンジや機能追加を行います。広い意味でのパッケージ導入の一種ともいえるでしょう。

スクラッチ(手組み)のシステムのメリット・デメリット

自社の業務に最適なシステムをオーダーメイドで構築して運用できるのがスクラッチの最大のメリットです。独自性の高い業務が数多くあっても基幹システム側をそれに合わせて作り上げるので、ユーザーは戸惑うことなく有効にシステムを使いこなすことができるでしょう。「特殊な処理が必要」、「自社内のシステムですべて完結させたい」、「コンプライアンスやセキュリティにとくに注意しなければならない」などの要件に対しても柔軟に対応可能です。

また、一度導入してしまえば、年間ライセンス料などのランニングコストはそれほどかかりません。業務拡大などに伴って機能を拡張したり、システムの改善・改良が必要になったりしたときも、フレキシブルに対応できるスクラッチの方がパッケージの場合よりコストを抑えられることが多いでしょう。

一方、デメリットは初期費用が高額なことです。特定企業の業務のために専用システムを作り上げるため、費用が数千万円という単位に達するのも珍しくありません。システム開発期間も半年〜1年程度で終わればよいのですが、数年に及ぶケースも考えられます。さらに開発にあたっては、どのような業務に対しどのようなシステムが必要なのかを打ち合わせをし、要件定義を行い、設計、開発を進めながら念入りな検証と改善を随時行っていくなどの作業が必要になります。その分、開発会社だけではなく、発注側の担当者にも相応の負担を強いることになります。

パッケージシステムのメリット・デメリット

パッケージのメリットはスクラッチとは逆に、初期費用を抑えることができ、導入までの期間も短いことです。導入までの手順についてもある程度マニュアル化されているためスムーズに進むことが多いでしょう。保守運用に関しても開発会社やベンダーに委ねることができます。

デメリットは自社の業務のやり方・進め方をシステムに合わせる必要が生じる可能性があることでしょう。そのため、ユーザー側がシステムを使いこなせるようになるまでに時間がかかる場合もあります。また、ライセンス料などのランニングコストもかさむ傾向があります。

近年では、自社の業務に合わせてパッケージをカスタマイズするケースが増えています。カスタマイズは導入までの期間やコストが増加する傾向にありますが、その後の業務がスムーズに行えるなどのメリットがあります。ただし、スクラッチほどユーザーの要求に完全に応えることは難しいと言えるでしょう。

スクラッチとパッケージどちらを選ぶべきか? 導入のポイント

スクラッチは初期費用が高く、導入までの期間も長くなる傾向があることから、ある程度体力のある大企業に向いています。さらに自社に独自性や専門性の高い業務が多いという場合は、スクラッチでなければ対応できない可能性もあります。あとはいかに自社の要求に柔軟かつ、きめ細やかに応えてくれる開発会社を選ぶかということになります。

ただし、パッケージとパッケージカスタマイズも、現在では中小企業だけではなく大企業にも導入されるようになってきています。その理由はコストが安いからというだけではありません。これまで基幹システムが普及し、多くの企業で使われてきたことで技術が成熟し、対応できる分野や業務が増えてきたことも理由に挙げられます。

また、企業側もパッケージを使うことで、業務を標準化できます。これは、基幹システムを使う業務の中から独自性をなるべく排除していけば、標準的な業務に対応するパッケージを利用して導入コストを抑えられることを意味します。

加えて、基幹システムが数年後に陳腐化する可能性も想定しておかなくてはなりません。基幹システムの再構築には新たなコストがかかります。スクラッチを選ぶなら、再構築の際にはどのような手順を踏むことになるのか、その際の負担がどれくらいになるのかを把握しておくべきです。パッケージやパッケージカスタマイズであれば再構築コストも安く抑えることができるため、その点も視野に入れてパッケージを選ぶという考え方もあります。

基幹システムについてスクラッチかパッケージかで迷ったら、まず自社の業務にマッチしているかどうかで考えるのが基本です。あるいはそれ以外に、スクラッチ、パッケージそれぞれの特徴を考慮した上で、自社の業務の方を導入する基幹システムの形態に合わせて変えていくという選択肢も考えられます。あなたの会社の事業を振り返り、適した基幹システムを導入しましょう。

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